論点は表現の自由というよりセンスの問題な気がした阿佐谷七夕まつりの政治色ハリボテ

編集部便り

杉並区の阿佐谷パールセンター商店街で毎年夏に行われる恒例イベント「阿佐谷七夕まつり」というのがあるんですが、アーケード商店街に沢山の七夕飾りと合計約100体にも及ぶという思い思いのキャラクターのハリボテ類が吊るされ、商店街は沢山の来場者が訪れる。

杉並区 阿佐ヶ谷

この阿佐谷七夕まつり、戦後すぐの昭和29(1954)年から毎年開催されていて、今年で「第六十一回」になる随分と年季の入ったお祭りでもある。一般的な七夕の節句からひと月遅れの8月7日を中日としてその前後5日間開催されるのだが、土日の夕方頃には商店街は歩けない程の混雑を見せる。

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沢山のキャラクターハリボテは各々商店主達が計画して手作りでこしらえているものだが、全体的に「流行りもの」にすがる傾向があって、今年なんかだと「妖怪ウォッチ」「アナと雪の女王」「ふなっしー」のパクリのふなしちとかいうキャラクターまで、オリジナル性に乏しいが一般ウケする出し物が多いので、まああんまりどうってこともないんですが…

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そんな一般ピープル向けのお祭りで、一般ウケしそうなハリボテが大半を占める中、ただ一つだけ場違いに不気味な個性を放っている作品がある。お茶と焼きのりを販売する「さやま園」が製作したハリボテである。恐らく「ムンクの叫び」を意識したであろう人物のハリボテの胴体部分には「安倍さん・いや戦爭はダメ」と、オドロオドロしい字体でメッセージが書き込まれている。

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さらに気になって背中側を見ると、こちらには「子どもの為に平和憲法を守ろう!!」と完全に政治的メッセージと思しき文言が…「さやま園」の人が共産党員なのか何なのか分からないが、さすがプロ市民の街杉並の意地を感じさせてくれる出し物だ。この個性的過ぎるハリボテの前を通り掛かる人々も結構反応していて「なんかこれだけ妙にメッセージ性が強いね」と言ってる人がいたり、中には「子供に見せる内容のものじゃないよね」と明らかに白い目を送りながら冷めた一言を放つ人の姿も。

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やはり賛否両論呼んでいるのだが、さやま園では毎年このような「政治色ハリボテ」を製作していて、過去には「しんぶん赤旗」に取り上げられたりしている模様。まあ、平和憲法をと政治主張しまくるハリボテのすぐ後ろに「宇宙戦艦ヤマト」を置いた隣の商店主にささやかな抵抗の意思を感じるのですが(笑)

このハリボテについてツイッター上で苦言を呈した赤ソファ(@akasofa)氏にソッチ方面の方々が噛み付いたりしていてお熱くなっておりますが、こちらが思うに論点は「みんなが楽しむお祭りに政治色を持ち込むなよ」という空気嫁的意見vs表現の自由を守れ的意見の対立構造というよりは単純に「センスがない」だけだと思われますが、平和が大好きなはずの良識的サヨクの皆様方如何でしょうか。

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そういう訳で当方の個人的に選ぶ、頭一つセンスが飛び抜けていたと思ったハリボテ優秀賞は、この妙にリアルなダイオウグソクムシ君に決定。これは一目見たら忘れられないインパクトがあった。しかしこれだけ流行りものハリボテが多い中で「時事ネタ」を出さないのは商店街の良心なんでしょうか…これだけネタ人材豊富な当たり年なのに、佐村河内氏とか小保方氏みたいなのが一切出てきたりしないのは、意外だった。


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