「意識高い系」が大好きな「アメリカ西海岸」

先日東京DEEP案内で公開した「清澄白河の意識高い系」特集に結構あれやこれやと反応を頂いている。別に清澄白河の街自体やブルーボトルコーヒーを貶す意図は全くないのだが、そこに集まる「意識高い系」な人々の「勘違い」ぶりを弄り回したかったのだ。

清澄白河を高級住宅街か何かと勘違いしている連中が現れだしてさすがにそれは違うだろうと一言物申したかった訳で、元々は地味な寺町だし小名木川を挟んだすぐ隣は森下三丁目、かつての高橋ドヤ街ですよ?

当方、この取材の為に清澄白河に三回訪問し、雨後の筍の如く増殖しまくるオシャレカフェ飯屋やブルーボトルコーヒーも含めたロースタリーカフェの数々を巡った。普段うらびれた街やオワコン物件、薄汚い場所ばかり紹介するのがDEEP案内だと思われている分、この試みはある意味新鮮な体験でもあった。

「街弄り」が本業なので、ツッコミ甲斐がある物件ならばジャンルは問わず幅広く手を付ける。清澄白河弄りもその一環と思って頂ければ幸いである。

サイトの方にも軽く触れたが、このブルーボトルコーヒーの本社はアメリカ西海岸、カリフォルニア州オークランドの倉庫街である。地図を見れば分かるが、オークランドはサンフランシスコ半島からサンフランシスコ湾を隔てた対岸にあり、サンフランシスコ都市圏の一部を占めている。

ブルーボトルコーヒーの店舗自体もオークランドよりもサンフランシスコ市内に多く所在しており、実質サンフランシスコが本拠地と言っても良い。

さらに「西海岸で飲む、いつもの味」云々の意識高い系ツイートで日本ネット民の嘲笑を買ったネットジャーナリストの松村太郎氏が暮らしているバークレーという街も、オークランドのすぐ北隣にある。

こうして話をまとめてみると、どうやらアメリカ西海岸、とりわけ「サンフランシスコ」という街が「意識高い系」文化の源流である事が次第に分かってきた。というのも当方にもここいらの事情には大いに心当たりがある。

サウスパークのネタにもされるサンフランシスコの意識高い系

当方、アメリカのアニメ番組「サウスパーク」が個人的に大好きで全シーズン観ているのだが、このアニメを知っている人にとっては日本では考えられない程にエゲツナイ社会風刺ネタや表現のフリーダムぶりにアメリカの懐深さを感じずには居られないだろう。

アメリカ中部コロラド州の田舎町サウスパークを舞台にカートマン・スタン・カイル・ケニーの悪ガキ小学生4人組を中心に色々何かやらかす、という内容で、1997年から現在まで全18シーズンが放映されている。

このサウスパークのシーズン10エピソード2の「Smug Alert!」にサンフランシスコが登場する。話のあらすじは大体以下の通り。

カイルの親父(ジェラルド)がハイブリッドカーを購入した後、サウスパークの街中をドライブしながら通り掛かる人々に向けて自慢しまくりハイブリッドカーの素晴らしさや地球環境の保護云々を声高に叫んだり、ショッピングモールの駐車場に停めてある燃費の悪い車に勝手に違反切符を貼り付けるなどして住民に総スカンを食らう事に。

カイルの親父は逆ギレ、サウスパークの奴らは民度が低い!もうこんな所に住めない!一家でサンフランシスコに移住しよう!とカイル一家は荷物をまとめてサンフランシスコに行ってしまう。

スタンはカイル一家を引き止めようとするも「サウスパークの住民が全員ハイブリッドカーに乗るようになったら戻る事を考えてもいい」と親父にはねのけられる。スタンはカイルを再びサウスパークに戻す為にハイブリッドカーのキャンペーンソングを作ってサウスパークの住民に啓蒙しようと働きかける。

アメリカ西海岸のサンフランシスコには「意識高い系」の住民が沢山住んでいて、引っ越してきたカイル一家に早速挨拶に訪れた近隣住民はのっけから意識の高い会話を繰り広げ、己の出した屁を深呼吸で吸い込んで自己満足に浸っている、子供達はそんな親にうんざりの様子。

「サンフランシスコは他の町とは違って歴史的な家を壊さずに保存しようとしているのです」「同じハイブリッドカーでも、もっと綺麗な排気のBTシリーズにしなきゃな」「ここサンフランシスコは時代の先を行くんだよ」…などなど、サンフランシスコに住んでいる事に優越感バリバリの発言を連発する意識高い系住民達。

タイトルにある「Smug」という単語は「独り善がり」「自己満足」「嫌に気取った」という意味を持つ。自己満足に浸るサンフランシスコ住民や、スタンのキャンペーンソングにすっかり感化されてみんなハイブリッドカーに買い替えたサウスパークの住民から発生する「自己満足雲」(SmogとSmugを掛けている)が肥大化し、次第に町を襲いとんでもない結末を迎える…というストーリーだ。

つまりサウスパークにもネタにされる程「意識高い系」な人々が住んでいるのがサンフランシスコという街らしいのだ。そんな街が育んだブルーボトルコーヒーが海を越えて江東区の清澄白河にやってきて、あのような事態になっている。何とも皮肉な光景である。

サウスパークのオチにも出てくるが、結局作者が言いたかったのは「ハイブリッドカーを所有するだけで自己満足と優越感に浸って選民意識を持つ連中はクソで馬鹿である。ハイブリッドカーは確かに地球環境には重要だが、みんなが気取らずにハイブリッドカーに乗れるようになるべきだ」という事。

先進的なアイテムを所有する事で特権意識を持つ中身のない「Smug」な人々

ハイブリッドカーは喩え話だが、先進的なアイテムを所有する事に自己満足し他人を見下す態度を取るのはノータリンのアホがやる事だと言いたい訳だ。そしてなぜかiPhoneやアップル製品を持つだけで妙に気取ったりする連中もここで言う「Smug」なのである。

ハイブリッドカーもiPhoneも買おうとするとそれなりに高級品だし、それを持つ事で何かのステータスを意識する奴が居ても不思議ではないし、売る側も消費者の優越感を引き出して購買意欲を引き立てるマーケティングを展開するのも自然な流れだが、製品自体には何の罪もないのだ。

もっともそれ以前にブルーボトルコーヒーで売っているコーヒーはただのコーヒーでしかない訳で、そんなものに優越感を持とうとする意識自体がどうでも良いしそもそも馬鹿げている。

そう言えば「意識高い系」が好んで使うMacやiPhoneの製造元であるアップル社の本社もアメリカ西海岸、カリフォルニア州サンノゼ郊外のクパチーノだ。そこまで知ると、ますます意識高い系とアメリカ西海岸の相関性が気になってきた。

とりあえず「アメリカ西海岸」と言っておけば日本では気取ったふりが出来るという事であろうか。そのうち当方もアメリカ西海岸を訪問して本場の「意識高い系」をニヤニヤと見物したいものである。

「意識高い系」の中身の伴ってなさは、清澄白河のブルーボトルコーヒー店舗近くの自販機にこんな注意書きが貼り出されている時点でその事を物語っている。

当たり前の事が出来てからカッコつけな。それでこそクールやないか。

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