リトアニアのストリップ劇場に行った話

日本じゃストリップ劇場の文化というのは風前の灯火になってしまっている。それでもまだ、街中にある浅草ロック座とか渋谷道頓堀劇場とかは細々ながらも活況だが、地方の劇場や、また昔のレジャーの王様であった温泉場のストリップなんかは続々廃墟となるわ潰れるわ、もはや絶滅の危機にある。

日本が高度成長の最中ギラギラしていた時代…それを我が目で見る事が出来たのは、恐らく1970年代以前までの生まれの人々の特権なのではないか。海外旅行が一般化し、レジャーの多様化、はたまたエロに対する規制の厳しくなる昨今、80年代以降に生まれて、偶然この世界に興味を持つ事となった人々は、日本のストリップ文化が終焉しそうな最後の瞬間を今リアルタイムで見ている事になる。

まあ、こんな時代にエロが潰される一方の萎びた老人のチ○ポのような我が国だけ見ててもしゃあないので、海外のストリップ劇場に出掛けてあれこれ見たりもしてきたのだが、この手のエロネタを表のDEEP案内で書くのも難しくなってきたので、こちらで書かせていただく事にしよう。

2014年7月の事だが、我々はヨーロッパのバルト三国を訪れていた。エストニア、ラトビア、リトアニア。いずれの国も旧ソ連に属していた小国で、それぞれ言語も文化も違っているが、三ヶ国合わせても面積は北海道の倍くらいで、かつてのソ連とナチス・ドイツに挟まれ、弾圧と受難の歴史をくぐり抜けた末に真っ先に旧ソ連から離脱しEUの仲間入りを果たした国々である。

ちょっとマイナー気味な国というのと、旧ソ連の国の雰囲気というものをちゃんと知りたかったのが訪問の理由であったが、真夏のバルト三国は高緯度という事もあって異様に日が長く、朝は5時くらいから夜11時くらいまで明るく、気候もそんなに暑くもならないので観光しやすいというのも行く理由にはなった。

まずはリトアニアの首都ヴィリニュスまで、ロシアのアエロフロート航空というある意味悪名高い航空会社の飛行機に乗ってモスクワ経由で到着。飛行機が無事着陸した瞬間にいちいち乗客の一部が大袈裟にパチパチパチと拍手を始める。

一瞬何なのか理解不能だったのだが、よく見ると拍手をしているのはロシア人っぽい方々ばかり。どうやらロシア人の流儀として、安全なフライトへの敬意を示す為に拍手を送るのだそうだ。旧ソ連の飛行機はよっぽど墜落しやすいのか?

ヴィリニュス国際空港に着いた時には夜11時半。もう遅いので、タクシーを拾って市街地にあるホテルまで直行した。ヴィリニュス駅から徒歩10分くらいの「CONFORT HOTEL LT」…コンフォートホテル、日本にもある、まあ世界的なチェーン系ホテルなのだが、出来たばかりのホテルなのかやたら小奇麗で、妙にデザイナーが張り切りまくっている。

当時はユーロ導入の前年にあたりリトアニア通貨のリタスだったのもあってか、これでも宿賃は8000円程度と、割とリーズナブルだった。今ではユーロに変わって若干割高になっているかも知れない。

客室内のテーブルの上に目をやると、ホテル側がこしらえたヴィリニュス市街地の観光パンフレットが置かれていたのだが、何故かこのパンフレットに「ストリップ劇場」が記載されていて、あまつさえパンフレットが割引チケットとして使えるというのだ。

仮にもここは旧ソ連の小国リトアニア…エロ関係の期待は全くと言っていいほど持っていなかった所にこの割引チケットとの出会いは何かの縁なのかも知れない。

翌日にヴィリニュスの街中を一通り観光している最中、その割引チケットに書かれている地図を目当てにストリップ劇場を探してみると…あった。ここだ。

ヴィリニュス駅と旧市街地との間にある事から「Old Town Strip Club」という、もっともらしい名称が付いている。外観から殆ど如何わしさを感じさせないのがリトアニアのストリップ劇場なのである。以前訪れたドイツ・ハンブルグのレーパーバーンやオランダ・アムステルダムの飾り窓など、同じヨーロッパでも酷い光景を目にしてきた後にこれを見ると、どうしても味気無さを感じてしまう。

日が傾き始める夜9時頃に、ストリップ劇場の前まで再びやってきた。ここは営業時間が夜9時から朝6時までとなっている。入口となっている通路に入ると天井には艶かしい女性のイラストがあって、さすがに「そういう場所ですよ」的なオーラを放っている。その通路の途中にストリップ劇場の玄関がある。

日本のそれとは違い、入口にもぎりのババアが居て銭を取られて入る感じではないし、別に場末感が漂っていたりする事もない。店のウェブサイトを見ると1999年に開業しているので、かれこれ15年続いている事になる。

店内は極普通の、とは言ってもなかなかに毒々しいデザインが施された内装のラウンジといった雰囲気で、テーブルとソファー席が10卓分くらい並べられ、その奥にはバーカウンター、そしてストリップ劇場には欠かせない、床から天井まで伸びる一本のポールと舞台が置かれている。

まだ開店時間から間もないせいか、客は我々東洋人2名だけであった。別に外国人だから女だからダメとかそういう事もなく、普通に入店出来る。

既に4~5人くらい踊り子の女性達がきわどい格好でスタンバイしていた。みんな年の頃は若い。ババアは一人も居ない。さすが美女の国リトアニアだ…

我々がポールに最も近い「かぶりつき」の位置に着席するやいなや、彼女らはブラを外してトップレスになり、悩ましいポールダンスを次々と見せてくれる。うほほほほ。これは目の保養になり過ぎですな。

地味に驚いたのだが、どの踊り子もスタイルも顔のパーツも完璧なのである。パツキン美女揃い。整形してるかどうかは知りませんけど、錦糸町あたりのロシアンバーで働いてたらどれも一番人気掻っ攫えそうなレベルの子ばかりだ。

東欧美女とはよく聞いていたけど実際にこの目でホンモノを見るとさすがに感心するね。そんな美女が代わる代わるトップレスになって目の前で踊る踊る。他に客も居ない中、まるで「貸し切り状態」だ。

東欧美女のメリーゴーランドが一周する頃、そのうちの1人が我々の隣にちょこんと座り、英語で会話を始めてきた。こちらの拙い英語力でコミュニケーションも微妙なのだが、簡単ながらも話を聞く事ができた。

彼女はリトアニアの隣国、ベラルーシから留学してきた20歳の学生だと言っていた。学生のバイトとしてはそれはそれは逞しいお仕事ですが、「私は学費が必要だからここで頑張ってるの!」と底抜けに明るく話していた。

日本で水商売や風俗で働きながらホスト狂いして借金まみれになっている女のダウナーっぷりから見ると、こちらの女性は日本人の想像では考えられない程自立心が強い。英語圏じゃないはずのベラルーシから来てるのに、英語も既にペラペラ。リトアニア語と英語とベラルーシ語のトライリンガルらしい。

ちなみにベラルーシという国はEUの一員になったバルト三国とは異なり、ヨーロッパ最後の独裁国家と呼ばれる共産主義国家で、経済や政治の状況を考えるとより自由度の高いEU加盟国のリトアニアに出た方が何かと良いのだろう。

そんな健気なストリップダンサーに一杯1000円ちょいのドリンクを奢って、さっくり楽しんで出てきた。出費は一人3000円くらいでしたかね。

リトアニアでは売春自体が法律で禁じられているのだが、ここは店のサイトにも「No Sex」とはっきり書いていて、何でも曖昧なグレーゾーンを作ってしまう日本人と比べても、実にはっきり単刀直入に言う事は言っている。

何だかんだで異国のストリップ劇場を何軒も回ってきたが、帰国後もふいに「あのベラルーシ人の子は今何やってるのかな」などと感慨に思い耽るような経験は今までに無かった気がする。当初ピンクな要素が皆無だったと思い込んでいたリトアニアでの経験だったから、尚更そう思うのだろうな。

バルト三国の中では物価は一番安いのがリトアニアである。一見毒々しい色合いのショッキングピンクなリトアニア名物の冷製ボルシチを始め、飯も美味かった。もし機会があれば行ってみては如何でしょう。何かと不安の付きまとうアエロフロート機で。

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